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IP V4枯渇問題ー途上国と先進国の格差

こんばんは。ちょっとマニアックな記事になりますが、少々お付き合いを。インターネットを使う上で避けて通れないのがIPアドレスです。ほとんどの人は気にすることなく使っていると思いますが、インターネットに接続しているのであれば必ずIPアドレスが必要になります。このIPアドレスですが、実は数に限りがあり、間もなく枯渇するといわれています。日本ではあまりひっ迫した状況を実感することはありませんが、ここ発展途上国(アフリカ)のモロッコではそうでもないのです。少々詳しく説明していきます。

IPアドレスについて

IPアドレスはインターネット上の住所、もしくは個人番号のようなものです。現在はバージョン4が使われていて、数の上限が間もなく来ようとしています。アジア太平洋地域のIP v4アドレスは2011年2月にIANAが在庫の枯渇を発表し、2018年4月にはヨーロッパ地域のIP v4アドレスが枯渇しました。現在在庫の残っているのはアフリカ地域のみになっています。在庫の枯渇に合わせ、近年話題のGoogle HomeAmazon Echoに代表されるスマートスピーカー、ネットワーク上から操作できるエアコンや洗濯機などの家電など今後あらゆる機器がネットワークに接続するユビキタスコンピューティングの世界を実現するためにもIPアドレスの枯渇は死活問題です。そのため、各国では早急にIP v6への移行を進める必要があるのです。IP v6は340澗個(340兆の1兆倍の1兆倍)まで利用することができ、ほぼ無限に使うことができます。今後あらゆるものがインターネットに接続するユビキタスコンピューティングの実現のためにもIP v6への以降は避けて通れないのです。しかしながら、先進国、途上国ともにIP v6への移行は進んでいないのが現状です。

図1.IP v6への移行が15%以上の国々 - Internet Society-State of IPv6 Deployment 2018 より
※リンク先のページにはほかにもIP v6に関する様々なデータがあるので、英語ですが興味のある方は見てみてください。

アフリカ地域のIPアドレス

さて、前述した内容からするとアフリカ地域はIP v4の在庫がまだあると感じてしまいます。しかし実はそうではありません。インターネットはそもそもアメリカから生まれ、世界に広まってきました。IPアドレスはIANAによって管理されていますが、こちらでは必要に応じて各地域へ在庫の割り振りを行ってきました。そんなわけですので、必要な地域(先進国)ほど保有アドレス数が多く、途上国(特にアフリカ)ほど保有アドレス数が少ないのです。日本ネットワークインフォメーションセンターでは、各地域別のIPアドレス保有数を発表しています。それによればIP v4アドレスの割り当てが最も少ないのがアフリカ地域です。また、Wikipediaの記事によれば、一人当たりのIPアドレス数が多いのはどれも先進国ばかり、反対に一人当たりIPアドレス数が少ないのは多くがアフリカの国々となっています。

これはつまり、日本では普通に一人でパソコンを持ち、スマートフォン、タブレットを所持し、出先で自宅のネットワークへ接続し、、、というような状況がアフリカの国々では少し工夫をしなければ、もしくは誰かが我慢をしなければインターネットを使えない状況にあるのです。

モロッコの状況

そういうわけで、モロッコも例外ではなく限りあるIPアドレスを使ってより多くの人が接続できるよう、時間差でIPアドレスが切り替わるようになっています。いわゆる動的IPアドレスというもので、一人の人(端末)がインターネットを占有してしまわないよう、一定時間たつと接続が切れ、新たなIPアドレスで接続するようになっているのです。これは固定回線、モバイル回線関わらずです。そのためアドレスが切り替わるたび、端末が接続を再構築するためどうしてもネットが不安定になってしまいます。

日本との比較

日本でもプロバイダーによってはIPアドレスが頻繁に(?)変わるところもあるようですが、私が日本で使用していたプロバイダーおよびモバイルキャリアはいずれもほぼ固定IPでした。公式には動的アドレスとなっているにも関わらず、基本的には固定で使用できたのでネットワークは非常に安定していましたし、外部からのアクセスも比較的容易でした。日本でもIPアドレスがコロコロと変わるWiMAXは、やはりネットワークは不安定だったのを覚えています(モバイル通信というのもあると思いますが。。)。おそらくIPアドレスの切り替えは技術的な問題もあるのでしょうが、こんなところでも先進国と途上国との格差を感じました。

今後の展望

IT技術などは先進国よりも途上国のほうが普及は早いといいます。ひとつ前の技術を飛び越えて、最新の技術がどんどん入ってくるからです。IP v6への移行が日本では若干遅れていますが、いずれ途上国のほうがあっという間にIP v6へ移行してしまうかもしれません。特にインドのそれのように、国を挙げてIT立国へと舵を切れば、そのスピードは目覚ましいものになるでしょう。IP v4ではアドレスの在庫で困難を強いられた途上国ですが、IP v6で世界のIT技術が途上国の発展に寄与することを期待しています。

なお、モロッコはアフリカの中では比較的発展している国に入ります。IT技術もIPアドレスを除けば、多くの人はスマートフォンを所有しているし、通信は4G、固定回線はADSLや最近では光ファイバーも利用できます。しかし、中途半端に発展しているがゆえに、IP v6への対応は遅れてしまっています。果たしてモロッコはIP v6への移行をスムーズにできるのでしょうか。IT関係の職種として、今後もモロッコのITの発展に注視していきたいと思います。

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参考資料

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ネットワークの基礎がわかります。IPアドレスの基礎、グローバルIP、ローカルIP、動的・静的アドレスなど。

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モロッコ旅行へ興味のある方、モロッコのことがわかります。

[contentcards url="https://www.cman.jp/network/support/go_access.cgi" target="_blank"]

自分のグローバルIPアドレスを確認したい場合は、CMANのサイトから簡単に確認できます。

[contentcards url="https://www.internetsociety.org/resources/2018/state-of-ipv6-deployment-2018/" target="_blank"]

IP v6への移行状況

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